動物の組織で作った生体弁(異種生体弁)は、3本の金属製の支柱(ステントという)をテフロンという布で覆い、そこに1)ウシ心膜を縫いつけたもの、2)ブタ弁を縫いつけたものがあります。
これをステントつき生体弁といい、僧帽弁用と大動脈弁用があります。さまざまな処理がなされており、約40年の歴史の間に改良を繰り返されています。

また大動脈弁用でまだ15年弱しかたっていませんが、ブタの大動脈の根元(弁つき)をそのまま固定処理した、ステントのない(ステントレス)生体弁もあります。


ウシの心膜弁に狂牛病が大丈夫かという問題についてですが、心臓および心嚢膜はこの病気がもっとも伝わりにくい部位とされています。ウシの心嚢膜で作ったカーペンターエドワーズという弁はイギリスなどヨーロッパ産のウシは使っていませんが、この弁を使ってこの病気がおこる確率は理論的には1/20万以下と言われ、現在でも米国でも日本でも最も多く使用されています。


生体弁には年月がたつと弁が徐々に変性し、かたくなってくるという欠点があります。現在の生体弁は突然壊れることはまずないと考えられていますが、若いかたの場合は変性が早いので比較的早い時期の再手術を覚悟しなければなりません。


早ければ10年前後で取り替えなければならなくなる場合もありますが、65才以上の方の場合、変性がおそく長持ちする事がわかっています。60歳未満で生体弁を移植した場合、日本生体弁研究会の調査によれば、手術の10年後に変性のために弁をとりかえずにすんだ(回避率)は、大動脈弁は79.2%、僧帽弁は74.3%でした。これは例えば2005年にフランスから報告された60歳以上の手術後20年における回避率88%とずいぶん違うことがわかります。日本人は平均寿命も長いので、はじめから再手術で取り換えるつもりで、が良いと思います。